中国では古くから水餃子・蒸し餃子は日常的に食しても焼餃子を食べる習慣はありません。食べるどころかお年寄りなどは焼餃子は”物貰いが食べるもの”と言ったりしていました。そのなごりで今でも、結婚披露宴や本格フルコースを取扱う店では、メニューに焼餃子がありません。

 ではどうして隣国の日本で、こんなにも焼餃子が普及したのでしょう。これには諸説ありますが、その中でももっともらしいもの二説をご紹介します。

 一つは、昔中国のある町で結婚式がありました。フルコースの宴会料理も終盤となり、蒸し餃子がテーブルに出ましたが、参列者の一人が食べきれず、容器に入れて持ち帰りました。そして翌日、その餃子を思い出し、蒸し直すのもめんどうと、フライパンに多目の油をしき揚げるように焼いて食べてみたのです。するとこれが結構うまい!
近くに住む日本人がこれを聞きつけ、日本に帰り餃子を焼いて食べる食事法を広めた。

 あと一つは戦時中の事。中国山東省の青島には日本海軍の基地があり、地元の青島人と仲良くなった海軍兵が良くご馳走になり、好んで食べたのが焼餃子だったとか。終戦後大陸から引き揚げた後も日本でみんなに教え作って食べたとか。そして山東省に住んでいた地元住民の中には日本に華僑として移り住んだ人がいて、そんな人達も、焼餃子を広めたようです。
その5 中国には中国人がいない?
その4 華僑の商法に関係することわざ集
その3 海外に居住する中国人=華僑
その2 菜 単
その1 食 補